3月15日

「『それにしても、君の肩パットえらい張ってるなー』トムが言いました。よく見ると男前の少年はかなり流行遅れの服を着ていたのです」

「えっ。バブル時代の少年?ていうか、昔昔て言ってなかった?」

「『そうだね。だって僕はここにもう百年もいるんだもの』と男前が言います」

「えっ。バブルなのに?せいぜい20年前くらいやろ?」

「細かい突っ込みは無視。

『ええー?ひゃくねんですかーっ。そりゃえらいこっちゃやなあ。しかし、君、百年ずっと待ってただけなん』

『そりゃあ、ぼくも最初のうちはドアをノックしたり、電話掛けてみたりしたんだよ。

だけど、この世界は本来人間がきてはいけない世界なんだ。結局僕に出来るのは待っていることだけなのさ』

『そりゃあ、気の長い話やなあ。せや、僕、鍵持ってるし中に入って頼んだるわ』

『ええっ。君は鍵を持ってるの?じゃあなんとかなるかもしれない。ここでは鍵を持ってる者が一番力を持っているんだよ』

『えへ。ほな、行ってくるわ』

トムは鍵を使って診察室ドアの中に入りました」

「トムて、わりとええヤツやな」

「『誰かいませんかー。僕鍵持ってる一番力持ちなんですけどー』と声をかけると、

『いや、力持ちとちゃうやろ。ちょっとニュアンス変わるで』とあのときの妖精が奥から出てきました。

『あっ。お前あのときの妖精!ひどいやんけ。他人の部屋煤だらけにしてからに』

『なにいうてんねん。お前がナイフ投げるからやんけ』

『うむむむ。確かにな。しかしお前も妖精やったらナイフくらいよけてもええんちゃうん。まあええわ。とりあえず、鍵返すから、お願い聞いて』

『どあつかましいやっちゃなー。腹立つけど、実際ここでは鍵持ってるヤツが一番えらいしな。ほな願い事言うてみ』

『まず、株で大もうけさせて。それから、勉強しやへんでもテストばりばりになるようにして。それからバクチで負けへんように。それから、来週の運動会で一等とらせて』

『なんやそれ。子供と大人の願い事まじってるやん。あかんあかん願い事はひとつだけや』

『うわあー。ケチくさ。こんな重要鍵持ってるのに?』

『それは俺の鍵やっちゅうねん。もともとはお前が悪いんやろ。願い事はひとつや。ひとつ』

『ええー?・・・わかった。ほな、この扉の外に男前が恋人待っとるねん。そいつに恋人返してやってくれ』

『え。なにそれ。それでええのん?』

『お、おお。それでええねん。幸せな恋人たちを見たらそれで僕も幸せになるねん』

『わかった。ほな扉の外で待ってて』と言われてトムは待合室に戻りました」

「なにそれ。トム、めっちゃええヤツやん。キャラかわってんやん」

「トムが男前とすこし待ってますと、扉の中から、ボディコンの女性が走って出てきました」

「なんで。ボディコン。百年前ちゃうのん」

「幸せそうな二人と一緒に次の扉をくぐりますと、二人は消えてしまいました。

『うわ。消えた!・・・まあしゃあないよな。バブリーさんたちやもんな』」

「ちがうやろ」

「トムは自分の部屋に戻りました。部屋はすっかり片付いていまして、煤もきれいになっていました。

暖炉では勢いよく炎があがり、部屋はあたたかくいごこちよくなっていました。

トムはコーヒーでも飲もうかと、お湯を沸かしながら、いつのまにかにっこりとしていました。

そうです。トムは幸せだったのです」

「・・・終わりなん?」

「終わり」

「たしかに、ハッピーエンドやけど、ものすごく腑に落ちへん。トムのキャラ変わりすぎ」

「せやろ。子供の頃、なんか腑に落ちんと思っててずっとおぼえててんな」

「そんな話、3日に渡ってするか」

「いや、だれか腑に落ちてくれるかと思って」

「いや、オチんやろ。オチもないし」チャンチャン。

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3月14日

「『ちょっと欲かきすぎてしもうたな』とトムは冷え切った部屋で反省しました」

「当然やな」

「もう一度暖炉に火をおこそうとしても、薪が湿ってしまったようで、全然火がつきません。

トムは途方にくれて、暖炉をのぞきこみました。

すると、暖炉の奥に小さな扉があるではありませんか。トムが試しに手に持っていた鍵を鍵穴に差し込みますと、案の定、扉は開きました」

「うーむ。ありきたりの展開ですな」

「トムは扉をくぐりました」

「暖炉の奥の小さな扉やのになんでくぐれるのん」

「えーと。少年だから?ていうかごめん。小さくないねん。普通の扉やねん」

「どんだけ大きいのその暖炉」

「細かい突っ込みはもうよろし。扉の向こうは、ちょっとしたホールになってました。

そして、もう一つ扉がありましたが、その前に恐ろしげな顔をした番人がおりました。

『ちょっとちょっと、ここは通られん。てういか、自分人間やんか。人間はこんなとこ来たらあかんねんで』

『いや、もう来てしもうたし。ていうかぼく鍵もってるし。鍵持ってるから通ってもいいんちゃうん』

『えっ。これはお見それいたしました。その鍵持ってる人がここでは一番えらいねん。ほな通って通って』」

トムはその扉も鍵を開けて中に入りました」

「トムも他人の鍵持ってえらそうやな」

「扉の向こうは待合室でした。そしてやっぱり奥には扉がありました」

「なんか総合病院みたいなとこやな」

「待合室にはちょっと細面の男前の少年がいました。

『うわ。自分、こんなとこでなにしてんの』とトムが尋ねますと、

『僕の恋人がこの扉の向こうに連れ去られてしまったんだ。僕は彼女が出てくるのをずっと待っているのさ』と男前は答えました」

「男前は関西人じゃないんやな」

「美男美女に関西弁は似合いません」

「うわー今関西人を敵にまわしたな」

「うそうそうそ。関西弁の男前もおります。ほんまほんまほんま。

ということで、今日はここまで」

「ええー?!全然話すすんでないやん。扉2つ開けただけやん」

「いや、(仕事を持つ)大人はもう寝る時間だから。ほな。おやすみなさい」

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3月13日

「雪の降る夜は楽しいペチカ~」

「ど、どうしたん。いきなり。雪降ってないし。ペチカてなによ」

「今夜は冷えるねえ。こんな夜には・・・そうだ。今日のお話は『火かき棒にのっていた鍵』だよ~」

「・・・なるほど。日記のネタがないんですな。わーわーわーっ。なぐらないでーっ!」

(中断)

「今日のお話は『火かき棒にのっていた鍵』だよ~」

「う、うわーい。どんなお話だろう。たのしみだーしくしく・・・じゃなくて、わくわく」

「昔昔。フィヨルドで有名なスカンジナビア半島のどこかに、トムという少年が住んでいました。

ある寒い寒い冬の晩、トムが暖炉の火を火かき棒でかきまわしておりました」

「ていうか、『火かき棒』て最近の子にはわからへんのとちゃうのん。だいたい変換でけへんし」

「うるさいな。字面でわかるやろ。火をかき回す棒やん。鉄ででけてんねん。単語登録もしたっちゅうねん」

「は、はい。わかりました。火掻き棒ですね」

「トムが火から火掻き棒を引き出しますと・・・」

「鍵がのっていたんですね」

「えええっ!なんでわかるの?!」

「・・・いや、あの、題名が・・・」

「トムは『なんでこんなとこに鍵があんねん』と突っ込みをいれながら、恐る恐る鍵を触りました」

「トムは関西人やねんな。スカンジナビア半島に住んでるけども」

「火掻き棒はすっかり熱くなっていましたが、鍵はなぜかひんやりとしてましたので、トムは手に取ってシメシメと眺めました」

「しげしげと眺めたんやろ」

「すると、どこからか、かんだかい声で『僕の鍵を返しておくれよ!』という声が聞こえてきました。

しかし、周りを見回してもだれもいません」

「心霊現象やな」

「『ここや!暖炉なかやんけ!心霊現象と違うちゅうねん!』暖炉を見ますと、中に気の短そうなおっちゃんの妖精がいました」

「関西人やねんな。妖精やけど。ていうかおっちゃんの妖精て」

「トムは『いきなり自分のや。て主張されても、納得いきませんな。僕が見つけたんやから僕のもんやで』と主張しました」

「自己主張の強い少年やね」

「『暖炉から鍵が出てきて、しかも火の中にあったのにひんやりしてたら、これは妖精の鍵かなて普通思うやろ』

と妖精は反論しました」

「妖精も冷静やな」

「『・・・まあええわ。でも僕が見つけたんやから。落とし主はそれなりのお礼をするのが筋とちゃうか』とトムは言い張りました。

妖精はムッとしましたが、しかたなく

『わーかーりーまーしーたー。ほな、それを返してくれたら、あんたを幸せにしてやるわ』と約束しました。

トムはラッキー!と思って鍵を返そうとしましたが、ふと魔がさして、つい、鍵のかわりに自分の持っていたナイフを妖精に投げました」

「なにそれ。めっちゃ悪いヤツやな。銃刀法違反やろ。不良やろ」

「妖精はナイフに当たって怪我をしました」

「ええー。妖精なのに」

「すると黒い煙が暖炉から吹き上げてきて、部屋を真っ黒にし、トムの顔も真っ黒になりました」

「コントですか」

「トムは火の消えた部屋に鍵を握り締めたまま残されて、途方にくれました」

「まだ続きますか」

「まだ続きますが、夜も更けてまいりましたので、また明日」

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